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労働災害で怪我をした場合の後遺障害逸失利益(損害賠償)とは?金額は?【弁護士が解説】
平田晃之
平田総合法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。当事務所は交通事故、労働災害、相続、離婚、不動産など身近な法律問題を中心に取り扱っています。取り扱う分野を絞りながら、一つ一つの分野について深く掘り下げ、高い専門性を追求しています。 お悩み事がございましたら、お気軽にご相談いただければと存じます。これまでの経験や知識を踏まえて誠実に対応させていただきます。

労働災害で怪我をした場合の後遺障害逸失利益(損害賠償)とは?金額は?【弁護士が解説】

A.後遺障害の逸失利益とは、後遺障害を受けたことによって、将来の収入が喪失・減少してしまうという損害のことです。その金額には計算方法があります。

後遺障害とは

労働災害によって、怪我を負い、治療しても完全には治らずに、何らかの症状が残ってしまうことがあります。
残ってしまった症状を後遺障害といいます。

労災保険においては「障害等級表」というものが定められており、障害等級は「第1級から第14級まで」と「非該当」が定められています。

「障害等級表」には、身体のどの部位にどのような症状が残った場合に、障害等級が何級になるか詳細に定められています。

詳しくは、労災事故と後遺障害・等級認定をご参照ください。

障害等級は、被害者からの障害補償給付申請を受けて労働基準監督署が認定します。

後遺障害による逸失利益

後遺障害が残った場合、労働災害以前に比べて、労働能力の一部または全部が損なわれ、その結果、以前と同じようには労働できず、本来なら得ることができた収入が得られなくなる可能性が高くなります。
つまり、将来にわたって収入が喪失・減少してしまうのです。

本来なら得ることができた利益を失ったことによる損害を逸失利益といいます。

労働能力喪失率

どういう障害が、どの程度収入の減少をもたらすかについては、障害等級ごとに「労働能力喪失率」というものが定められており、それを参考に逸失利益を算出することになります。 

例えば、脊髄損傷により下半身不随になってしまったという場合、おそらく障害等級は第1級から第3級のいずれかと認定されることが多いと思われます。

これら(1〜3級)の場合、労働能力喪失率は「100%」とされています。労働能力を完全に喪失したとみなすということです。

また、例えば、機械に巻き込まれるなどの労働災害により骨折したとして、治った後も右手関節(手首のこと)の可動域が、健常な左手関節の2分の1以下になってしまったという場合、おそらく障害等級は第10級と認定されます。

10級の場合、労働能力喪失率は「27%」とされています。

算定方法

逸失利益は、

基礎収入(原則として事故前の年収)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応する係数)

で算出されます。

例として、年収400万円だった方が労働災害に遭い、障害等級10級の認定を受け、この当時40歳だった場合、

事故前の年収:400万円
労働能力喪失率:27%
労働能力喪失期間(※1)に対応する係数(※2):18.3270

400万円 × 27% × 18.3270=1,979万3,160円

したがって、逸失利益は「1,979万3,160円」となります。

※1 原則として67歳までの年数です。事例の場合、67歳-40歳=27歳

※2 「ライプニッツ係数」といいます。
将来得たであろう収入を、現在の一時点において支払われる場合には、支払時から将来取得されるべき時点までの運用益を控除する必要があるという理解です(中間利息控除)。
そのための計算に用いられるのがライプニッツ係数であり、令和6年現在の法定利率3%を前提として、27年に対応するライプニッツ係数は18.3270となります。

損害賠償請求ができる場合

まずは労災申請をして労災保険から給付を受けます。

しかし、労災保険からは下記の損害については支給されません。
それらを受け取るには、加害行為者や会社に対して、損害賠償請求をすることになります。

【労災保険では支給されない損害項目】

 ①慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)

 ②後遺障害や死亡によって喪失した、将来得られたであろう稼働利益(逸失利益)の一部

 ③休業損害の一部(労災保険の休業補償給付は平均賃金の6割。特別支給金を含めても8割)

労災保険給付である障害(補償)年金または障害(補償)一時金は、逸失利益を補填する性質を持つものの、通常、逸失利益を完全に補填するほど十分なものではありません。 

そのため、逸失利益の不足分の補償を受けるには、加害者や事業主に対する損害賠償請求を検討する必要があります。

早めの相談・依頼で安心を 

一個人である被害者が、ひとりで会社や加害者とやりとりをするのは困難を極めます。

また、事故態様に関する資料の収集も容易ではありませんし、損害の資料として、何が必要か判断に迷うことも多いと思います。

ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、どのように交渉を進めればよいか悩ましく、治療や日常生活と並行して進めていくには、非常にストレスを感じることと思います。

さらに、会社は、会社側には何ら責任はないと主張したり、仮に会社の責任を認めても労働者側にも大きな過失があったとして、「過失相殺」による大幅減額を主張してくる場合が少なくありません。
そのような時にも、弁護士はあなたの味方となり、適切な主張を行います。

弁護士にご依頼いただくことで、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、会社側と対等に交渉することが可能です。

また、「弁護士に依頼するかについては未定」という方も、お早めにご相談いただくことで、弁護士は具体的な事情を踏まえたアドバイスができますので、ご不安の解消や、今後の方針を立てるお役に立つことでしょう。

労働災害に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談ください。

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