派遣先での業務中の怪我は労働災害です
派遣元は労働者災害補償責任を負っており、派遣元が労災保険の適用事業とされています(派遣元において労災保険に加入する義務があります)。
また、労働者派遣とは、派遣労働者について、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させるものですので、派遣先での業務中の怪我も、労働災害にあたります(労働者派遣法第2条第1号参照)。
そのため、派遣先での業務中の怪我については、まず、労災保険の申請を行うことになります。
労災保険の申請や労災保険の給付内容については、私どものホームページの他の記事をご参照ください。
派遣元・派遣先のどちらに責任があるか
結論からいうと、派遣元・派遣先のそれぞれが労災事故に対する責任を負っています。
例えば、派遣元は派遣労働者に対して安全教育や指導、健康診断や医師の面接指導の実施等を行う義務、派遣先の業務内容を十分に理解し、安全対策を講じたり、是正を求めたり、派遣を停止するといった義務などがあります。
他方で、派遣先も、派遣労働者の危険又は健康被害を防止するための措置を講じる義務などがあります。
ただし、派遣労働者は、派遣先の設備・器具等を使用して、派遣先の作業に関する指揮命令に従って業務を行いますので、次に説明する「会社に対する損害賠償」②の安全配慮義務違反については、派遣先が責任を負う場合が多いといえます。
損害賠償請求ができる場合とは
損害賠償請求ができるのは、
①労働災害に関して加害者がいる場合
②会社に安全配慮義務違反が認められる場合
となります。
①の加害者がいる場合は、加害者本人だけでなく、当該加害者を雇用していた会社や指揮命令を行っていた派遣先等に対しても使用者責任(民法715条)を追求し、損害賠償請求ができる可能性があります(稀ですが、加害者を派遣した派遣元に請求できる場合もあります)。
②の会社に安全配慮義務違反が認められる場合は、加害者がいない事故(単独事故)でも、会社に損害賠償請求ができます。
上で説明しましたように、多くの場合、派遣先に安全配慮義務違反がなかったかどうかが問題となります(場合によっては、派遣元に請求できる場合もあります)。
どのような場合に安全配慮義務違反が認められるかについては、派遣先の業務内容にあった私どものホームページの他の記事をご参照ください。
早めのご相談、ご依頼で安心を
労働災害の補償やその手続きは複雑で、一般の方が理解しづらいとお感じになる部分も少なくありません。
弁護士にご依頼いただくことで、過去の裁判例や文献を調査し、これまでの経験を踏まえて、会社側に責任があるのかどうかをより正確に判断し、会社側と対等に交渉することが可能です。
また、労働災害により今後の日常生活や仕事に大きな影響を与えてしまう重大な後遺障害が残る場合も多くみられます。
「弁護士に依頼するかについては未定」という方も、お早めにご相談いただくことで、弁護士はその方の具体的な事情や症状を踏まえたアドバイスができますので、ご不安の解消や、今後の方針を決める際のお役に立てると思います。
労働災害に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談ください。