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うつ病など精神疾患の方へ
平田晃之
平田総合法律事務所のホームページをご覧いただきありがとうございます。当事務所は交通事故、労働災害、相続、離婚、不動産など身近な法律問題を中心に取り扱っています。取り扱う分野を絞りながら、一つ一つの分野について深く掘り下げ、高い専門性を追求しています。 お悩み事がございましたら、お気軽にご相談いただければと存じます。これまでの経験や知識を踏まえて誠実に対応させていただきます。

うつ病等の精神疾病についても労災認定を受けられる可能性があります。 

パワハラや過重労働などの業務上の原因から心理的負荷を受け、うつ病等の特定の精神疾病を発病 してしまった場合にも、労働災害(労災)と認定され、労災保険制度から給付を受けられる可能性があります。

ここでは、精神疾病について労働災害と認められる要件についてご案内します。

労災認定の基準

精神疾病は仕事だけでなく様々な要因によって発病する可能性があるため、労災認定の審査においては「原因となったのは本当に業務なのか」という点が非常に重要になります。

業務による精神疾病の労災認定要件は次の3つです。

 ① 対象疾病を発病したこと

 ② 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷があったと認められること

 ③ 業務以外の心理的負荷又は個体側要因により対象疾病を発病したといえないこと

1.特定の精神疾患を発病したこと

うつ病など対象の精神疾病を発病していることや、発病時期は、主治医の意見書やカルテなどの関係資料、申請者本人や関係者からの意見聴取などを通じて事実確認を行い、医学的に判断されます。

2.発病前おおむね6か月の間業務による強い心理的負荷があったと認められること

次に、発病前(6ヶ月間程度)に、業務による強い心理的負荷があったかどうかで判断されます。

では、強い心理的負荷があったとはどのように判断されるのでしょうか。それについて、厚生労働省は「業務による心理的負荷評価表」をまとめており、業務上の出来事ごとに通常どの程度の「心理的負荷」を受けるであろうという目安を定めています。

例えば、業務により重度の病気やけがをしたという出来事の場合、長期間の入院を要した、現職復帰できないような強い後遺障害が残ったのであれば強い心理的負荷であると判断されますが、一部後遺障害が残り、現職復帰に支障がない場合は、心理的負荷は「中」と判断されます。

また、上司などから殴られるなど身体へのパワハラを受けたという出来事では、治療を要した、身体的攻撃が反復・継続された場合は強い心理的負荷と判断されますが、治療を要しない程度の暴行が1回だけという場合であれば、心理的負荷は「中」と判断されます。

上司からの精神的なパワハラを受けたという出来事の場合(人格や人間性を否定するような発言、無視された、必要以上に長時間にわたり厳しく叱責されたなど)は、反復継続するなどして執拗に受けたという事情があると強い心理的負荷と判断されます。

ただし、出来事の心理的負荷が「中」と判断された場合でも、1か月おおむね100時間の時間外労働がある場合は、総合的に強い心理的負荷があったと判断される可能性がありますので、時間外労働の時間数がどれぐらいかが一つポイントとなってきます。

3.業務以外の心理的負荷・個体側要因により精神疾病を発病したとは認められないこと

第三に、業務以外の要因で発病したとはいえないことも必要とされています。第二の要件と同様、出来事の類型ごとに、心理的負荷の評価表が作成されています。 

例えば、配偶者と離婚、流産、家族死亡など、それだけで強い心理的負荷を受けるであろう出来事があった場合、「業務以外の心理的負荷」によって発病したと評価されやすくなります。

また、既往の精神疾病がある、現在治療中の精神障害がある、アルコール依存症であるなどの事情がある場合は、そのような個体側要因により発病したのではないかについて慎重な判断がなされる可能性があります。

最後に

精神障害に関する事案の労災請求件数は増えていますが、実際に労災認定される割合は3割程度で推移しており、精神障害に関する労災請求をしても労災認定されないことが多いというのが現状です。(令和4年 精神障害に関する事案の労災補償状況 図2-1)